2022年12月14日 新着情報

厚生労働省から、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」が公表されています。この調査は、パートタイム・有期雇用労働法の施行後の状況を明らかにすることを目的として実施されるものです。
今回の調査は、全国の事業所から約29,000事業所、このうち5人以上の常用労働者を雇用する事業所で働くパートタイム・有期雇用労働者から約23,000人を無作為抽出し、令和3年10月1日現在の状況について実施されたものです(有効回答率は事業所調査で51.9%、個人調査で57.1%でした)。調査結果のポイントは次のとおりです。

<事業所調査>


●企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況
パートタイム・有期雇用労働者の雇用状況をみると、「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業は75.4%となっている。「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業について雇用している就業形態(複数回答)をみると、「無期雇用パートタイムを雇用している」企業は51.4%、「有期雇用パートタイムを雇用している」企業は27.1%、「有期雇用フルタイムを雇用している」企業は23.2%となっている。

企業産業別にみると、「無期雇用パートタイムを雇用している」企業では「宿泊業,飲食サービス業」が81.2%、「有期雇用パートタイムを雇用している」「有期雇用フルタイムを雇用している」企業では「複合サービス事業」が66.7%、68.1%とそれぞれ最も高くなっている。

また、企業規模別にみると、いずれの就業形態においても、企業規模が大きくなるほど雇用している割合がおおむね高くなっている。

●パートタイム・有期雇用労働法の施行による待遇の見直し
令和2年4月以降(中小企業の場合は、令和3年4月以降)のパートタイム・有期雇用労働者と正社員の間の「不合理な待遇差の禁止」の規定に対応するための企業の見直し状況をみると、「見直しを行った」企業の割合が28.5%、「待遇差はない」が28.2%となっており、両者を合わせて6割近くになっている。「見直しを行った」企業のうち、その実施内容(複数回答)をみると、「パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直し」が19.4%と最も高くなっている。

企業規模別にみると、企業規模300人以上は「見直しを行った」と「待遇差はない」を合わせて8割程度となっているが、50人から299人は7割を切っており、49人以下は6割を切っている。

また、実施内容については「パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直し」はじめ、パートタイム・有期雇用労働者の待遇の改善に係る項目は企業規模が大きくなるほどおおむね高くなっているが、「正社員の待遇の見直し」「正社員の職務内容等の見直し」については、企業規模ごとにみても差があまりない状況となっている。

一方、「見直しは特にしていない」企業の割合は36.0%となっている。
なお、「パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直しを行った」企業について、見直した待遇の内容は「基本給」が45.1%と最も高く、次いで「有給の休暇制度」が35.3%となっている。

<個人調査>


●現在の就業形態を選んだ理由
現在の就業形態を選んだ理由(複数回答)を就業形態、男女別にみると、男では、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」は「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」がそれぞれ66.6%、44.2%、「有期雇用フルタイム」は「正社員を定年退職した後に再雇用されたから」が44.4%と最も高くなっている。女では、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」のいずれの就業形態においても「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」がそれぞれ58.4%、56.9%、28.1%と最も高くなっている。

男女、年齢階級別にみると、「無期雇用パートタイム」の男女と「有期雇用パートタイム」の女はすべての年齢階級で「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が最も高くなっている。また「有期雇用フルタイム」の「55歳以上」については、男女とも「正社員を定年退職した後に再雇用されたから」が最も高くなっている。

●自身と業務の内容及び責任の程度が同じ正社員と比較した賃金水準の意識
自身と業務の内容及び責任の程度が同じ正社員と比較したパートタイム・有期雇用労働者の賃金水準についての意識を就業形態、男女別にみると、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」のいずれの就業形態も男女ともに「賃金水準は低く、納得していない」が最も高くなっている。

現在の就業形態での現在の会社における勤続期間階級別にみると、勤続年数が「1年1か月~2年」「2年1か月~3年」の階級では「賃金水準は低いが、納得している」が「賃金水準は低く、納得していない」より高くなっているが、それ以外のすべての階級で「正社員よりは賃金水準は低く、納得していない」が「正社員よりは賃金水準は低いが、納得している」よりも高くなっている。

●自身と正社員との待遇の相違についての説明要求の有無及び結果
令和2年4月以降(中小企業の場合は、令和3年4月以降)の待遇についての説明の要求の有無と結果については、いずれの就業形態においても「説明を求めたことがない」割合が「説明を求めたことがある」割合を大きく上回っている。「無期雇用パートタイム」の「説明を求めたことがある」の割合は9.2%であり、「有期雇用パートタイム」の17.1%、「有期雇用フルタイム」の20.6%と比べておおむね半分となっている。

また「説明を求めたことがある」のうち、その結果「説明してもらえなかった」割合が「有期雇用パートタイム」4.2%、「有期雇用フルタイム」6.9%に対し、「無期雇用パートタイム」は19.3%と高くなっている。

また、「処遇についての説明を求めたことがない理由」については、いずれの就業形態においても「納得しているから」の割合が最も高く、半数を超えているが、「自分の労働条件に関心がないから」の割合が「有期雇用パートタイム」が6.8%、「有期雇用フルタイム」が7.0%に対し、「無期雇用パートタイム」が13.2%と高くなっている。また「説明を求めると不利益な取扱いをされるおそれがあるから」の割合は「無期雇用パートタイム」1.5%、「有期雇用パートタイム」2.1%に対し、「有期雇用フルタイム」は5.7%と高くなっている。

●会社や仕事に対する不満・不安
現在の会社や仕事に対する不満・不安の有無について就業形態、男女別にみると、「不満・不安がある」労働者は「無期雇用パートタイム」で男59.8%、女55.6%、「有期雇用パートタイム」で男42.3%、女60.6%、「有期雇用フルタイム」で男62.5%、女77.1%となっている。

「不満・不安がある」と回答した労働者の不満・不安の内容(複数回答)については、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」いずれの就業形態でも男女とも「賃金が少ない」が最も高く、半数を超えている。女ではいずれの就業形態でも「業務量が多い」がそれぞれ22.4%、20.1%、23.6%と2番目に高くなっているが、男の2番目以降に高いものをみると、「無期雇用パートタイム」は「休暇がとりにくい」が43.2%、「業務量が多い」が24.6%、「有期雇用パートタイム」は「雇用が不安定」が21.6%、「労働時間が不規則」が14.9%、「有期雇用フルタイム」は「業務量が多い」が15.2%、「正社員になれない」が14.6%となっている。

●今後の働き方の希望
今後の働き方の希望について就業形態、男女別にみると、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」のいずれの就業形態でも男女ともに「現在の会社で」「現在の雇用形態で仕事を続けたい」が最も高くなっている。

男女、年齢階級別にみると、「無期雇用パートタイム」の「15~24歳」の男、「有期雇用パートタイム」の「25~34歳」の男と「15~24歳」の女、「有期雇用フルタイム」の「25~34歳」の男では、「別の会社で」「正社員になりたい」が最も高くなっている。それ以外は男女、年齢階級を問わず「現在の会社で」「現在の雇用形態で仕事を続けたい」が最も高くなっている。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/170-1/2021/index.html
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