【令和4年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組】
下請取引においては、親事業者の下請法違反行為により下請事業者が不利益を受けている場合であっても、その取引の性格から、下請事業者からの自発的な情報提供が期待しにくい実態にあります。このため、公正取引委員会では、親事業者及び当該親事業者と取引のある下請事業者を対象に定期的な調査を実施するなどして、下請事業者が親事業者の下請法違反被疑事実を情報提供しやすい環境整備に取り組むことにより、違反行為の発見のために積極的な情報収集に努めています。
■下請法の運用状況
【定期調査の実施】
資本金の額又は出資の総額が1000万円超の親事業者70,000名及び当該親事業者と取引のある下請事業者300,000名を対象に定期調査を実施しました。なお、令和4年度は、買いたたきに係る違反行為が多く認められる業種等について重点的に調査するため、調査対象となる親事業者数を令和3年度から5,000名拡大しています。
1:下請法違反行為に対する勧告等
(1)勧告件数
令和4年度の勧告件数は6件。
勧告の対象となった違反行為類型の内訳については、下請代金の減額が3件、返品が2件、買いたたきが1件、不当な経済上の利益の提供要請が2件となっている(注)。
(注)1件の勧告事件において複数の違反行為類型について勧告を行っている場合があるので、違反行為類型の内訳の合計数と勧告件数とは一致しない。
【勧告件数及び自発的申出件数(勧告相当案件)の推移】
(注)自発的申出の詳細については後記3参照。
(2)指導件数
令和4年度の指導件数は8,665件。
【指導件数の推移】
2:下請事業者が被った不利益の原状回復の状況
令和4年度においては、下請事業者が被った不利益について、親事業者180名から、下請事業者6,294名に対し、下請代金の減額分の返還等、総額11億3465万円相当の原状回復が行われた。
【原状回復額の推移】
【原状回復を行った親事業者数・原状回復を受けた下請事業者数の推移】
3:下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案
公正取引委員会は、親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み、公正取引委員会が調査に着手する前に、違反行為を自発的に申し出、かつ、下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等、自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については、親事業者の法令遵守を促す観点から、下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表しています(平成20年12月17日公表)。
令和4年度においては、前記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は23件でした。また、同年度に処理した自発的な申出は20件であり、そのうちの1件については、違反行為の内容が下請事業者に与える不利益が大きいなど勧告に相当するような事案でした。
令和4年度においては、親事業者からの違反行為の自発的な申出により、下請事業者91名に対し、下請代金の減額分の返還等、総額8億2106万円相当の原状回復が行われました(前記2記載の金額に含まれている。)。
【自発的な申出の件数】
■中小事業者等の取引公正化に向けた取組
公正取引委員会は、令和3年12月27日、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(以下「転嫁円滑化施策パッケージ」という。)が取りまとめられたことを踏まえ、令和4年3月30日、「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し、適正な価格転嫁の実現に向けて、従来にない取組を進めてきました。
その上で、令和5年3月1日、当委員会は、新たに「令和5年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し、適正な価格転嫁の実現に向けて、更なる取組方針を取りまとめた。
具体的には、①「価格転嫁円滑化スキーム」を通じた関係省庁との緊密な連携、②独占禁止法の執行強化、③下請法の執行強化等、④独占禁止法及び下請法の考え方の周知徹底等を実施してきたところ、令和4年度における具体的な取組内容及び今後の取組は以下のとおりです。
<特設ウェブサイト>
「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」
に関する公正取引委員会の取組
https://www.jftc.go.jp/partnership_package/index.html
1:価格転嫁円滑化スキーム
転嫁円滑化施策パッケージでは、業種別の法遵守状況の点検を行う新たな仕組みを創設しました。新たな仕組みにおいて、公正取引委員会では、関係省庁から情報提供や要請を受け付けるとともに、中小事業者等が匿名で情報提供できる「違反行為情報提供フォーム」を設置し、買いたたきなどの違反行為が疑われる親事業者に関する情報を受け付けています。当委員会に対しては、令和4年度に、518件の情報が寄せられました。今後も引き続き、関係省庁と連携を図るとともに、「違反行為情報提供フォーム」に寄せられた情報を活用し、各種調査を実施していくとのことです。
また、公正取引委員会及び中小企業庁は、令和4年5月31日、令和3年度における下請法違反被疑事件の処理状況等に基づき、事例、実績、業種別状況等について、「価格転嫁に係る業種分析報告書」を取りまとめ、公表するとともに、令和3年度における下請法上の「買いたたき」の処理状況等を踏まえ、令和4年度の下請法上の重点立入業種として、道路貨物運送業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業の4業種を選定しました。
当委員会は、同年度においては、174件の重点的な立入調査を実施しています。さらに、今般、令和4年度における下請法上の「買いたたき」の処理状況等を踏まえ、令和5年度の下請法上の重点立入業種として、情報サービス業、道路貨物運送業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業の5業種を選定しました。今後、これらの業種に重点的な立入調査を実施していくとのことです。
加えて、公正取引委員会及び中小企業庁は、令和4年9月14日、下請法違反行為が多く認められる19業種(このうち5業種は荷主による独占禁止法違反につながるおそれのある行為が多く認められる業種にも該当する。)について、事業所管省庁と連名により、関係事業者団体に対して、傘下企業による法遵守状況の自主点検を要請し、同年12月14日、法遵守状況の自主点検の結果を取りまとめ、公表しています。
今後、当委員会は、関係省庁とも連携し、関係事業者団体等が実施した取引適正化に向けた取組の強化の内容について、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査において、注意喚起文書の送付件数又は割合が多かった業種も対象に加えつつ、令和5年内を目途に必要なフォローアップを行うとのことです。
「違反行為情報提供フォーム」
(買いたたきなどの違反行為が疑われる親事業者に関する情報提供フォーム)
https://www.jftc.go.jp/soudan/jyohoteikyo/kaitataki.html
2:独占禁止法の執行強化
(1)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査
公正取引委員会は、令和4年3月30日、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査(以下「緊急調査」という。)の中心となる対象業種として22業種を選定し、同年6月3日には受注者8万名に対し、同年8月30日には発注者3万名に対し、それぞれ書面調査を開始し、同年12月27日、緊急調査の結果を取りまとめ、公表しました。
緊急調査においては、受注者に対する書面調査、発注者に対する書面調査等を踏まえて立入調査を306件実施し、後記4(1)の公正取引委員会ウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」に新たに追加したQ&A(以下「独占禁止法Q&A」という。)に該当する行為が認められた事業者4,030名に具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。また、受注者からの値上げ要請の有無にかかわらず、多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者13名について、独占禁止法第43条の規定に基づきその事業者名を公表しました。
令和5年度においては、令和4年6月1日から令和5年5月31日までを調査対象期間とし、令和5年5月30日に、緊急調査(22業種11万名)を上回る規模の業種及び発送数の書面調査を開始しました。この際、コスト構造において労務費の占める割合が高い業種に対し重点的に調査票を送付するなど労務費に関する対応を強化するとのことです。
あわせて、緊急調査において注意喚起文書を送付した4,030名及び多数の取引先に対して協議を経ない取引価格の据置き等が認められたため事業者名を公表した13名について、その後の価格転嫁の取組状況の確認(フォローアップ)を行うとのことです。
(2)スタートアップをめぐる取引に関する調査
公正取引委員会及び経済産業省は、令和4年3月31日、「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」を策定した。当委員会は、この指針を踏まえた取引が行われているかどうかを把握するため、同年6月15日、スタートアップ約5,600名、連携事業者・出資者約1万1500名を対象とした書面調査をそれぞれ実施し、さらに、連携事業者・出資者13名への立入調査及びスタートアップ37名へのヒアリングを実施しました。
同調査において、独占禁止法上の問題につながるおそれのある事項が見受けられた連携事業者・出資者8名・11件の行為に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付するとともに、同年12月23日、調査結果を取りまとめ、公表しました。
(3)荷主と物流事業者との取引に関する調査
公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っています。
令和3年に開始した荷主と物流事業者との取引に関する調査では、公正取引委員会は、同年10月8日に荷主3万名に対し、令和4年1月14日に物流事業者4万名に対し、それぞれ書面調査を開始しました。書面調査等を踏まえ、エネルギー等のコスト上昇分の転嫁拒否が疑われる事案について、荷主19名に対する立入調査を実施し、同年5月25日、調査結果を取りまとめ、公表しました。同調査においては、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主641名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付しています。
令和4年に開始した荷主と物流事業者との取引に関する調査では、同年9月30日には荷主3万名に対し、令和5年1月13日には物流事業者4万名に対し、それぞれ書面調査を開始しました。今後、書面調査等の結果を踏まえ、同年6月上旬に調査結果を取りまとめ、公表されます。
(4)労働基準監督機関との連携強化
公正取引委員会は、従前から、厚生労働省との間において、労働基準監督署が、労働基準関係法令違反の背景に独占禁止法違反行為又は下請法違反行為の存在が疑われる事案を把握した場合に、厚生労働省が当委員会に通報を行う制度を運用してきました。この通報制度を拡充するものとして、労働基準監督署が、事業所に立入検査・監督指導(臨検監督)を実施した際に、労働基準関係法令違反が認められなくても、賃金引上げの阻害要因として「買いたたき」等が疑われる事案については、通報の対象とすることとなり、令和4年4月1日、拡充された通報制度の運用が開始されました。
(5)公正取引委員会の体制強化
公正取引委員会は、独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する執行体制の更なる強化を図る観点から、令和4年5月20日、関係事業者に立入調査等を行う「優越Gメン」の体制を新たに創設しました。
また、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)において「中小企業等が価格転嫁しやすい環境の実現」に向けて「公正取引委員会等の執行体制を強化する」とされたことを踏まえ、同年12月9日、官房参事官(中小事業者等担当)及び経済取引局取引部企業取引課企画官の新設並びに定員50人の増員を緊急的に行いました。
3:下請法の執行強化等
(1)下請法違反行為の再発防止が不十分な事業者に対する取組の実施
公正取引委員会及び中小企業庁は、令和4年5月20日、下請法違反行為の再発防止が不十分と認められる事業者に対し下請法に基づく指導を行う際に、取締役会決議を経た上での改善報告書の提出を求めていくこととしました。当委員会は、令和4年度においては、9件について改善報告書の提出を求めました。
(2)下請取引の監督強化のための情報システムの構築
転嫁円滑化施策パッケージでは、下請法違反行為を行っているおそれが強い事業者を抽出し、優先的に下請法に基づく調査対象とするため、過去に実施した指導や勧告についての情報、関係省庁が提供する情報、申告情報などを一元的に管理できる情報システムを新たに構築することとされていたところ、公正取引委員会は、令和4年10月、当該情報システムの運用を開始しました。
(3)ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書
昨今のDX(Digital Transformation)化の流れを支えるソフトウェア業においては、多重下請構造型のサプライチェーンの中で、下請法上の買いたたき、仕様変更への無償対応要求といった違反行為の存在が懸念されたことから、公正取引委員会は、ソフトウェア業における2万1000名(資本金3億円以下)を対象としたアンケート調査、関係事業者・団体に対するヒアリング調査などによって、ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査を実施し、令和4年6月29日に報告書を取りまとめ、公表しました。
4:独占禁止法及び下請法の考え方の周知徹底等
(1)独占禁止法及び下請法の考え方の周知徹底
公正取引委員会は、令和4年1月26日、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号。以下「下請法運用基準」という。)を改正するとともに、同年2月16日、当委員会ウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」に新たにQ&Aを追加し、労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分を取引価格に反映せず、従来どおりに取引価格を据え置くことは、下請法上の買いたたき又は独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の一つに該当するおそれがあり、後記の①及び②の二つの行為がこれに該当することを明確化しました。
①労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
②労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
※下請法運用基準は、上記の「取引の相手方」を「下請事業者」としている。
前記の下請法運用基準の改正等において、
①に該当する行為については、多くの場合、発注者のほうが取引上の立場が強く、受注者からはコスト上昇が生じても価格転嫁を言い出しにくい状況にあることを踏まえ、積極的に発注者からそのような協議の場を設けることが円滑な価格転嫁を進める観点から有効かつ適切であることから、明示的に協議を行わないことを、
②に該当する行為については、受注者からコスト上昇を踏まえた取引価格引上げの要請があったにもかかわらず、受け入れない場合には、その理由については書面等の形に残る方法で伝えることが円滑な価格転嫁を進める上では有効かつ適切であることから、書面等による回答を行わないことを、
それぞれ下請法上の買いたたき又は独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の一つに該当するおそれがある行為として挙げています。
公正取引委員会は、前記の下請法運用基準及び独占禁止法Q&Aについて、関係省庁とも連携しつつ、後記アからウまでのとおり、改めて事業者、事業者団体等向けの周知徹底を図っています。
ア:円滑な価格転嫁に向けた要請
公正取引委員会は、令和5年3月15日、円滑な価格転嫁の実現に向けて、積極的な協議を後押しする観点から、前記⑴に記載の考え方の周知等について、関係事業者団体約1,600団体に対し、公正取引委員会委員長の文書をもって要請した。
イ:経済団体等への働きかけ
公正取引委員会は、発注側の大企業、受注側の中小事業者等を含め、取引の当事者となる事業者への周知徹底を図るため、令和5年2月以降、経済団体等との意見交換の場を設けて、傘下の団体・事業者等への周知について働きかけを行った。
ウ:ウェブサイト等を通じた周知
令和5年1月31日、政府インターネットテレビに、下請法を解説する新たな動画「下請事業者を守る下請法」を掲載し、その中に、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくことが重要である旨を盛り込んだ。
(2)相談対応の強化
公正取引委員会では、相談窓口において、下請法及び優越的地位の濫用に係る相談を受け付けていまする。令和4年度においては、下請法に関する相談が14,003件、優越的地位の濫用に関する相談が2,098件の合計16,101件の相談に対応しています。また、令和3年9月8日、「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」を設置し、当該相談窓口ではフリーダイヤル経由で電話相談に対応しています。
下請法及び優越的地位の濫用に関する相談件数の推移
また、公正取引委員会は、令和3年9月8日以降、中小事業者等からの要望に応じ、下請法及び優越的地位の濫用について基本的な内容を分かりやすく説明するとともに相談受付を行うためのオンライン相談会を実施している。令和4年度においては、1件のオンライン相談会を実施しました。
さらに、公正取引委員会は、商工会議所及び商工会の協力の下、独占禁止法相談ネットワークを運営しており、独占禁止法及び下請法に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように、全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口(約2,200か所)を活用し、相談を受け付けています。
令和4年度においては、相談窓口を利用する中小事業者の独占禁止法及び下請法に対する理解を助けるため、中小事業者向けリーフレット(「1分で分かる!独禁法」)等の参考資料を全国の商工会議所及び商工会へ配布しました。
公正取引委員会は、今後も引き続き、相談対応の強化を進めていくとのことです。
「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」
ゼロゼロ110番
電話番号0120-060-110
※固定電話のほか、携帯電話からも御利用いただけます。
※公正取引委員会の本局又は地方事務所等の相談窓口につながります。
【受付時間】10:00~17:00
(土日祝日・年末年始を除く。)
(3)不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の拡充・強化
公正取引委員会は、令和4年度において、以下の取組を実施したところ、今後も引き続き、不当なしわ寄せ防止に向けた取組の普及啓発活動の拡充・強化を進めていくとのことです。
ア:下請取引適正化推進月間に関する取組
公正取引委員会は、中小企業庁と共同して、毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め、下請取引適正化の推進に関する講習を実施するなどの普及啓発活動を実施している。令和4年度においては、各種媒体を通じた広報やポスターの掲示に加え、下請取引適正化推進講習会テキストの内容を繰り返し習得できる動画を配信した。また、「下請取引適正化推進月間」を効果的にPRすることを目的として、キャンペーン標語についての一般公募を実施し、「適正な価格転嫁で未来を築く」を令和4年度の特選作品として選定した。
イ:コンプライアンス確立への積極的支援
(ア)基礎講習
公正取引委員会は、下請法等に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした基礎講習を実施しているところ、令和4年度においては、26回の講習の実施に加え、講習動画を当委員会ウェブサイト上で公開しています。
(イ)応用講習
公正取引委員会は、下請法等に関する基礎知識を有する者を対象として、事例研究を中心とした応用的な内容に関する応用講習を実施しているところ、令和4年度においては、講習動画を当委員会ウェブサイト上で公開しています。
(ウ)業種別講習
公正取引委員会は、業種ごとの実態に即した分かりやすい具体例を用いて説明を行う業種別講習を実施しているところ、令和4年度においては、荷主・物流事業者向けに講習動画を当委員会ウェブサイト上で公開しています。
(エ)研修会等への出講
公正取引委員会は、下請法等の一層の普及・啓発を図るため、事業者団体が開催する研修会等に出講しているところ、令和4年度においては、事業者団体等へ72回の出講を実施しました。
ウ:親事業者に対する下請法遵守のための年末要請
年末にかけての金融繁忙期においては、下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されることから、公正取引委員会及び経済産業省は、下請法の遵守の徹底等について、公正取引委員会委員長及び経済産業大臣の連名の文書で要請している。令和4年度においては、関係事業者団体1,650団体に対し、令和4年11月25日に要請を行いました。
エ:下請代金の支払の適正化に向けた取組
公正取引委員会及び中小企業庁は、令和6年を目途として、サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提に、下請法の運用の見直しを検討することとしているところ、令和5年2月22日、手形等のサイトの短縮化の更なる促進を図るため、令和3年度に引き続き、当委員会及び中小企業庁の連名で、サイトが60日を超える手形等により下請代金を支払っているとした親事業者約6,000名に対し、可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内に短縮することを要請しました。
オ:下請取引等改善協力委員への意見聴取
公正取引委員会は、下請法等の効果的な運用に資するため、各地域の下請取引等の実情に明るい中小事業者等に下請取引等改善協力委員を委嘱しています。
令和4年度における下請取引等改善協力委員(定員)は153名である。令和4年度においては、下請取引等改善協力委員から、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇に伴う下請代金の見直しなどについて意見聴取を行いました。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 公正取引委員会 ]
- https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/may/230530_r4_honbun.pdf