【公的職業訓練の在り方に関する研究会報告書を公表】
厚生労働省から、「公的職業訓練の在り方に関する研究会※報告書」が公表されました。この報告書は、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計について、次の4つの視点(・働きながらでも学びやすい職業訓練の内容、・対象となる者への周知方法、受講勧奨、受講申込方法、・職業訓練を実施する訓練機関(訓練コース)の選定方法、・成果指標)から検討した結果を取りまとめたものです。
【現状と課題】
◆DXなど急速かつ広範な経済・社会環境の変化に対応していくため、労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの支援が必要。
◆特に非正規雇用労働者は、正社員に比して、企業を通じた能力開発機会が乏しいだけでなく、自己啓発の実施割合も少ない。
◆非正規雇用労働者の主体的な学び直しを進めるためには、時間的制約、経済的制約、情報等に関する制約の解消が必要。
◆こうした制約を解消し、将来にわたるキャリアアップがより効果的に実現されるため、新たな支援の枠組みの実現が適当。
非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計~4つの視点~
◇働きながらでも学びやすい職業訓練の内容
・現行の離職者向け訓練と同様の水準で、早期の再就職及びキャリア形成に必要な技能・知識を習得するレベルとする。
・通所日の思い切った柔軟化、通所不要なオンライン訓練、受講時間が自由に選択できるオンデマンドのeラーニングの利用、訓練期間の長期化を認めることが考えられる。
・実施方法との親和性も考慮し、地域のニーズを踏まえた分野や、全国的にニーズが高い分野を選定する。
・無料または低廉な費用負担とする。
・受講継続勧奨・離脱防止に向けたきめ細かな支援として、受講者同士や講師とのコミュニケーション機会の提供、学習支援者の配置、キャリア形成に関する相談機会の提供、訓練開始前の説明会等での情報提供等を盛り込む。
◇対象となる者への周知方法、受講勧奨、受講申込方法
・対象者は、転職希望者のように必ずしもハローワークで把握できるわけではないことから、周知主体は職業訓練実施機関とすることが考えられる。
・将来のキャリアや向上すべきスキルが分からない者に対応した相談支援、職業訓練の受講によって得られる効果等の情報提供等を実施することを検討すべきである。
・受講者本人が職業訓練実施機関に直接申し込むことが考えられる。
◇職業訓練を実施する訓練機関(訓練コース)の選定方法
多様な訓練分野を提供し、柔軟な実施方法・日程で提供する必要があることから、民間の職業訓練実施機関を実施主体とする。
◇成果指標
在職者が対象であることから、成果指標は就職率のほか、正規雇用労働者への転換割合、賃金水準向上の状況、習得したスキルの活用状況等が考えられる。受講者の主観的評価の導入も検討すべきである。
報告書では、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練は、新しい試みであることから、上記の検討事項を踏まえた試行事業として実施すべきとし、その際、適切な制度設計につなげる観点から、先行事例を参考に、多様な手法等で実施すべきとしています。また、試行事業の進捗状況及び結果は、随時研究会に報告すべきとしています。
※技術の進展や経済的環境の変化、個人の働き方・職業キャリアに対する考え方の多様化等を踏まえ、企業及び個人のニーズに適切に対応した公的職業訓練を提供する必要があります。このため、本年度より、公的職業訓練制度の検証・検討に資するため、有識者で構成される研究会が開催されました。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35012.html