基本的な事業継承対策の考え方
事業継承とは、【経営者がオーナー社長から後継者に替わる】という表面上の問題ではありません。
オーナー社長が事業を立ち上げ築き上げてきた財産的基盤はもとより社会的信用など様々なものを引き継ぐことを意味します。
特に、社会的信用に関しては、中小企業の場合、オーナー社長の信用がそのまま会社の信用となっています。
したがって、事業継承対策の範囲は後継者の決定、育成から財産の把握、相続対策と非常に幅広いものになります。
ここでは、財産の継承という観点から事業継承をみていきます。
事業継承対策で、もっとも重要なことは、事業用資産をいかにして守り、分散させないようにするか。
そのための相続税対策をどのようにするかということだと思います。
基本的には、後継者に事業用財産または自社株のすべてを渡すことが理想です。
しかし、相続財産のほとんどが事業用資産や自社株であったような場合には、そのすべてを後継者に相続させることは不可能になります。
また、仮に後継者に相続することができたとしても相続税の負担をどのようにするかといった問題が生じます。
そこで、まず、
①オーナー社長の財産の内容と評価額を正確に把握し現時点では相続税がいくらになるかを計算します。
その結果に基づき
②事業を継続するためにはどの財産を残すべきか。
③今現在、処分することができる財産は何か。
④納税準備資金に充てるべき財産は何か。
⑤物納に当てる財産はどの物件か。
などを検討し、長期的な視野に立ち財産の処分、組み替えなどを行うことにより、より遺産分割をしやすく財産を整理し、生命保険などを利用するなど、より多くの納税準備金の確保を行うようにすることが重要です。
ただし、近年は税制改正などが非常に頻繁に行われ、節税の封じ込め対策が行われています。
絶えず、税法等の改正には注意が必要になります。