「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立・公布
公共事業を進めていくうえで、所有者不明土地が障害となっていることから、公共事業の実施を目的に、所有者不明土地を円滑に利用するための手続きや、土地所有者を探索するため固定資産税課税台帳や地籍調査票等を行政機関が利用できる制度の創設等を定めた「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が6月6日成立し、同13日に公布されました。公布の日から6ヵ月以内で、政令で定める日から施行されます。
1背景
人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地(※)が全国的に増加しており、今後も、相続機会の増加に伴って増加の一途をたどることが見込まれています。
【出典:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案 概要より】
所有者不明土地は、所有者の特定等に多大なコストを要するため、公共事業の推進等の場面でその用地確保の妨げとなり、事業全体の遅れの一因となっています。
※所有者不明土地とは、不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地のこと。土地の権利関係の公示制度である不動産登記制度上、所有権の登記は第三者対抗要件であり義務化されていないため、相続登記がされずに、不動産登記簿上の登記名義人が現在の所有者でない場合も多い。
2法律案の概要
(1)所有者不明土地を円滑に利用する仕組み
反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造で小規模なものを除く。)がなく、現に利用されていない所有者不明土地について、以下の仕組みを構築。
・公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得)
国、都道府県知事が事業認定した事業について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定
・地域福利増進事業の創設(利用権の設定)
地域住民等の福祉・利便の増進に資する事業について、都道府県知事が公益性を確認し、一定期間の公告に付した上で、利用権(上限10年間)を設定(所有者が現れ明渡しを求めた場合は、期間終了後に原状回復、異議がない場合は延長可能)
(2)所有者の探索を合理化する仕組み
・土地の所有者の探索のために必要な公的情報について、行政機関が利用できる制度を創設
・長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が、長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設
(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み
・所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度を創設
【目標・効果】
・所有者不明土地の収用手続に要する期間(収用手続への移行から取得まで) : 約1/3短縮(約31→21ヵ月)
・地域福利増進事業における利用権の設定数: 施行後10年間で累計100件
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 国土交通省 ]
- http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000106.html