「産業医・産業保健機能」と「面接指導等」の強化に関する改正についてパンフレットを公表
厚生労働省から、『「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます』というタイトルのパンフレットが公表されています。これらの強化は、働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正により行われるものです(2019年4月1日施行)。
時間外労働の上限規制や年次有給休暇の時季指定義務の導入にくらべると、注目度は低いですが、このような改正が行われることも確認しておく必要があります。
なお、「長時間労働者に対する面接指導等」の強化は、産業医の選任義務がない小規模の事業所にも適用されます。
「労働時間の状況の把握」や「労働者への時間に関する情報の通知」といった改正も含まれていますので、特に注意が必要です。
■長時間労働者に対する面接指導等のポイント
長時間労働やメンタルヘス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導が確実に実施されるようにし、労働者の健康管理を強化します。
ポイント1:労働時間の状況の把握(改正安衛法第66条の8の3、改正安衛則第52条の7の3条1項、第2項)
事業者は、改正安衛法第66条の8第1項又は66条の8の2第1項の規定による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュタ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
事業者は、これらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければなりません。
※派遣労働者については、派遣先事業者が労働時間の状況を把握し、派遣元事業者が面接指導等を実施しなければなりません。
ポイント2:労働者への労働時間に関する情報の通知(改正安衛則第52条の2第3項)
事業者は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。
※当該通知については、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めた全ての労働者に適用されます。
ポイント3:医師による面接指導の対象となる労働者の要件(改正安衛法第66条の8第1項、改正安衛則第52条の2第1項)
面接指導の対象となる労働者の要件を、時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者に拡大しました。
※面接指導を行うに当たっては、この要件に該当する労働者の申出により行います。
ポイント4:研究開発業務従事者に対する医師による面接指導(改正安衛法第66条の8の2第1項、第2項、改正安衛則第52条の7の2第1項、第2項)
事業者は時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える研究開発業務従事者に対して、申出なしに医師よる面接指導を行わなければなりません。
研究開発業務従事者に対する医師による面接指導の経過措置
研究開発業務従事者に対する面接指導ついて
・中小企業(建設業、製糖業を除く。)以外については、2019年3月31日までに締結した改正前の労働基準法第36条(旧第36条)に基づく36協定の有効である1年間は適用が猶予(最大で2020年3月31日まで適用が猶予)
・中小企業(建設業、製糖業を除く。)については、改正後の労働基準法第36条(新第36条)の適用が1年間猶予されるため、2020年3月31日までに締結した旧第36条に基づく36協定の有効である1年間は適用が猶予(最大で2021年3月31日まで適用が猶予)
・建設業、製糖業については、新第36条の適用が5年間猶予されるため、2024年3月31日までに締結した旧第36条に基づく36協定の有効である1年間は適用が猶予(最大で2025年3月31日まで適用が猶予)
となります。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/content/000484079.pdf