2022年03月18日 新着情報

令和5年10月より開始される消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関し、事業者の方々から寄せられている質問、特に免税事業者やその取引先の対応に関する考え方を明らかにし、制度への理解を深め、必要な対応を検討いただく際に活用してもらうことを目的とし、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」が公表されています。

(注)基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者で、消費税の納税義務が免除される制度(事業者免税点制度)の適用を受ける事業者をいいます。基準期間における課税売上高が1,000万円以下でも、所轄税務署長への事前届出により課税事業者となることができます。

(参考)国税庁HPに、インボイス制度の特設サイトが設けられていますので、ご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

また、インボイス制度について、さらに詳しくお知りになりたい方は、以下もご覧ください。

・適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-(令和3年7月国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf

・消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和3年7月改訂国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf


■Q&Aの概要


Q1:インボイス制度が実施されて、何が変わりますか。

A:課税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けることで、インボイスを発行できるようになります。インボイスには消費税額等が記載されるため、その転嫁がしやすくなる面もあると考えられます。事業者は請求書等の記載事項やシステムの改修等への対応が必要となる場合があるところ、改正電子帳簿保存法の活用を図るほか、デジタル化の推進のための専門家派遣やITの導入支援などによる対応を検討しています。

Q2:免税事業者であり続けた場合、必ず取引に影響が生じるのですか?

A:売上先が、以下のどちらかに該当する場合は、取引への影響は生じないと考えられます。
①売上先が消費者又は免税事業者である場合
②売上先の事業者が簡易課税制度を適用している場合
そのほか、消費税が非課税とされるサービス等を提供している事業者に対して、そのサービス等のために必要な物品を販売している場合なども、取引への影響は生じないと考えられます。

Q3:売上先がQ2のいずれにも当てはまらない場合、免税事業者の取引にはどのような影響が生じますか?

A:免税事業者の取引への影響に配慮して経過措置が設けられており、インボイス制度の実施後6年間は、仕入税額控除が可能とされています。なお、売上先の意向で取引条件が見直される場合、その方法や内容によっては、売上先は独占禁止法・下請法・建設業法により問題となる可能性があります(Q7参照)。

Q4:免税事業者が課税事業者を選択した場合、何が必要になりますか?

A:課税事業者を選択した場合、消費税の申告・納税等が必要になりますが、課税売上高が5,000万円以下の事業者は簡易課税制度を適用でき、その場合は仕入れの際にインボイスを受け取り、保存する必要はありません。

Q5:課税事業者は、免税事業者からの仕入れについて、どのようなことに留意すればいいですか?

A:簡易課税制度を適用している場合は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除ができるため、仕入先との関係では留意する必要はありません。
簡易課税制度を適用していない場合も、取引への影響に配慮して経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入れについても、制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除が可能とされています。
また、消費税の性質上、免税事業者も自らの仕入れに係る消費税を負担しており、その分は免税事業者の取引価格に織り込まれる必要があることにも、ご留意ください。

Q6:課税事業者が、新たな相手から仕入れを行う場合、どのようなことに留意すればいいですか?

A:簡易課税制度を適用している場合は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除ができるため、仕入先との関係では留意する必要はありません。
また、簡易課税制度を適用していない場合は、取引条件を設定するに当たり、相手がインボイス発行事業者かを確認する必要があると考えられます。
免税事業者から仕入れを行う場合は、設定する取引価格が免税事業者を前提としたものであることを、互いに理解しておく必要もあると考えられます。

Q7:仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討していますが、独占禁止法などの上ではどのような行為が問題となりますか?

1 取引対価の引下げ
取引上優越した地位にある事業者(買手)が、免税事業者との取引において、仕入税額控除できないことを理由に取引価格の引下げを要請し、再交渉において、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではありません。
しかし、再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合であって、免税事業者が今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となり得ます。

2 商品・役務の成果物の受領拒否等
取引上の地位が相手方に優越している事業者(買手)が、仕入先から商品を購入する契約をした後において、仕入先がインボイス発行事業者でないことを理由に商品の受領を拒否することは、仕入先が今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、優越的地位の濫用として問題となります。

3 協賛金等の負担の要請等
取引上優越した地位にある事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対し、取引価格の据置きを受け入れる代わりに、取引の相手方に別途、協賛金、販売促進費等の名目で金銭の負担を要請することは、当該協賛金等の負担額及びその算出根拠等について、仕入先との間で明確になっておらず、仕入先にあらかじめ計算できない不利益を与えることとなる場合などには、優越的地位の濫用として問題となります。

4 購入・利用強制
取引上優越した地位にある事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対し、取引価格の据置きを受け入れる代わりに、当該取引に係る商品・役務以外の商品・役務の購入を要請することは、仕入先が事業遂行上必要としない商品・役務であり、又はその購入を希望していないときであったとしても、今後の取引に与える影響を懸念して当該要請を受け入れざるを得ない場合には、優越的地位の濫用として問題となります。

5 取引の停止
事業者がどの事業者と取引するかは基本的に自由ですが、取引上の地位が相手方に優越している事業者(買手)が、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者である仕入先に対して、一方的に、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格など著しく低い取引価格を設定し、不当に不利益を与えることとなる場合であって、これに応じない相手方との取引を停止した場合には、独占禁止法上問題となるおそれがあります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 財務省 ]
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d02.htm
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