【労働政策審議会の資料が公表】
厚生労働省から、「第51回労働政策審議会」の資料が公表されました。今回の議題は、「令和5年度労働行政関係予算の主要施策」、「分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議状況」、「労働政策基本部会報告書」などについてです。それぞれ、その内容が分かりやすく整理された資料が提示されていますが、ここでは令和5年度労働行政関係予算の主要施策についてご紹介します。
■令和5年度厚生労働省予算における重点事項
コロナ禍からの経済社会活動の回復を見据え、国民の命・雇用・暮らしを守る万全の対応を行うとともに、全世代型社会保障の構築を推進し、未来を切り拓く「新しい資本主義」を実現することにより、国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会を構築するため、以下を柱として予算措置を行う。
ⅰ.コロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保健・医療・介護の構築
<新型コロナウイルス感染症対策の着実な実行、次の感染症危機に備えるための対応能力の強化>
◆新型コロナウイルスへの対応と次の感染症危機に備えた取組
<医療介護DXの推進、科学技術力向上・イノベーションの実現>
◆医療分野・介護分野におけるDX、医療のサイバーセキュリティ対策の推進
◆医薬品・医療機器等の実用化促進、安定供給、安全・信頼性の確保
◆科学技術力向上・イノベーションの実現
<地域医療構想の推進、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進等>
◆地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進等
◆救急・災害医療体制等の充実
◆地域包括ケアシステムの構築、自立支援・重度化防止の推進
◆認知症施策推進大綱に基づく施策の推進
<予防・重症化予防・健康づくり、歯科保健医療の推進等>
◆健康寿命延伸に向けた予防・健康づくりの推進
◆がん・肝炎・難病対策等の推進
◆歯科保健医療の推進
◆食の安全・安心の確保
◆国際機関等を通じた国際貢献の推進・医療の国際展開
ⅱ.成長と分配の好循環に向けた「人への投資」
<「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージ>
◆労働者の賃上げ支援
◆人材の育成・活性化
◆賃金上昇を伴う労働移動の円滑化
◆多様な選択を力強く支える環境整備・雇用セーフティネットの再整備
<多様な人材の活躍促進>
◆女性の活躍促進
◆高齢者の就労・社会参加の促進
◆障害者の就労促進
◆外国人に対する支援
◆就職氷河期世代、若年者・新規学卒者の支援
<多様な働き方への支援>
◆多様な働き方の実現
◆働き方改革の推進、ハラスメント対策
◆非正規雇用労働者への支援、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、働く方の相談支援の充実、働く環境改善等
◆看護、介護、障害福祉の現場で働く方々の処遇改善の引き続きの実施
ⅲ.安心できる暮らしと包摂社会の実現
<地域共生社会の実現等>
◆相談支援、参加支援、地域づくりの一体的実施による重層的支援体制の整備促進
◆生活困窮者自立支援、ひきこもり支援、自殺総合対策等の推進
◆成年後見制度の利用促進・権利擁護支援の推進
◆困難な問題を抱える女性への支援
◆障害者支援、依存症対策の推進
<水道、戦没者遺骨収集、年金、被災地支援等>
◆水道の基盤強化
◆戦没者遺骨収集等の推進
◆安心できる年金制度の確立
◆被災地における福祉・介護サービス提供体制の確保等
【令和5年度厚生労働省予算における重点事項(ポイント)】
ⅱ.成長と分配の好循環に向けた「人への投資」
「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージ
新しい資本主義の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃上げを強力に推進するとともに、中長期の構造的な賃上げを実現するため、人材の育成・活性化と賃金上昇を伴う労働移動の円滑化の一体的な取組を推進する観点から「人への投資」の抜本強化を図る。
○労働者の賃上げ支援:107億円(95億円)
・事業場内最低賃金引上げのための業務改善を行った事業者に対する支援
・キャリアアップ助成金による非正規雇用労働者の処遇改善を行う企業への支援
・同一労働同一賃金の徹底等
○人材の育成・活性化:1,138億円(929億円)
・人材開発支援助成金による企業におけるデジタル人材等の育成及び事業展開等に伴う労働者のスキル習得支援
・産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)による賃金上昇につながるスキルアップを目的とした在籍型出向の支援(※)
・事業再構築に必要な人材の雇入れを支援する産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース(仮称))の創設(※)
・専門実践教育訓練給付の充実及び支援の拡充(※)
・学び直しを後押しするキャリアコンサルティング機能を拡充したキャリア形成・学び直し支援センター(仮称)の整備(※)
・副業・兼業を希望する中高年齢者及び企業の情報を蓄積し、当該中高年齢者に企業情報の提供を行う情報提供モデル事業の創設(※)等
○賃金上昇を伴う労働移動の円滑化:747億円(557億円)
・労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)による賃金上昇を伴う早期再就職の支援(※)
・特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)を活用した就職困難者の人材育成の推進(※)
・公的職業訓練のデジタル分野の重点化によるデジタル推進人材の育成(※)等
・受講者の特性に対応した新たな教育訓練手法のコンテスト方式による選定、開発・試行(※)
・ハローワークの専門窓口(人材確保対策コーナー)での就職支援の強化
・都市部から地方への移住を伴う地域を越えた再就職等への支援
・働く人のワークエンゲージメントの向上に向けた支援(※)
・大企業における男女間賃金格差の公表義務化を踏まえた「女性の活躍推進企業データベース」の活用促進等
○多様な選択を力強く支える環境整備・雇用セーフティネットの再整備:82百万円(60百万円)、R4補正7,276億円
・フリーランス・トラブル110番による相談支援の充実等
多様な人材の活躍促進
全ての人々が意欲・能力を活かして活躍できる環境を整備するため、女性活躍推進、高齢者の就労・社会参加、就職氷河期世代の活躍支援等を図る。
○女性の活躍促進:45億円(43億円)
・個々の企業に対する女性の活躍促進のためのコンサルティング等の実施(一部※)
・子育て中の女性の支援に取り組むNPO等へのアウトリーチ型支援の推進などマザーズハローワークにおける就職支援の強化等
○高齢者の就労・社会参加の促進:235億円(248億円)
・ハローワークにおける生涯現役支援窓口などのマッチングの支援
・シルバー人材センターによる地域の多様な就業機会の確保及び提供等
○障害者の就労促進:186億円(187億円)
・中小企業をはじめとした障害者の雇入れ等の支援
・精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援
○外国人に対する支援:104億円(102億円)
・外国人求職者等への就職支援、企業での外国人労働者の適正な雇用管理の推進、外国人労働者の雇用管理や労働移動の実態把握のための統計整備
・外国人技能実習機構における実地検査等の実施による技能実習制度の適正な運用、技能実習制度の適正化に向けた調査・研究等
○就職氷河期世代、若年者・新規学卒者の支援:726億円(779億円)
・就職氷河期世代に対するハローワークの専門窓口における専門担当者による就職相談、職業紹介、職場定着までの一貫した伴走型支援の強化
・地域若者サポートステーションにおける就職氷河期世代を含む就労自立支援
・新卒応援ハローワーク等における多様な課題を抱える新規学卒者等への支援等
多様な働き方への支援
誰もが働きやすい社会の実現に向けた働き方改革を着実に実行するため、個々の希望に応じた多様な働き方の選択とその活躍が可能な環境の整備を行う。また、看護、介護、障害福祉の職場における処遇改善を引き続き実施する。
○多様な働き方の実現:132億円(147億円)
・適正な労務管理下におけるテレワークの導入・定着促進
・「多様な正社員」制度に係る導入支援等の実施
・男性が育児休業を取得しやすい環境の整備や、円滑な介護休業の取得・復帰に向けた企業の取組等に対する支援
・労働者協同組合についてのNPO等からの円滑な移行等
○働き方改革の推進、ハラスメント対策:182億円(154億円)
・時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務への労働時間短縮等に向けた支援
・働き方改革推進支援センターによる働き方改革に関する相談支援
・ワーク・ライフ・バランスを促進する休暇制度・就業形態の普及
・職場におけるハラスメント(就活ハラスメント、カスタマーハラスメントを含む)撲滅のための事例収集、周知・啓発、相談支援等
○非正規雇用労働者への支援、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、働く方の相談支援の充実、働く環境改善等:1,179億円(1,196億円)、R4補正26億円
・キャリアアップ助成金による非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善を行う企業への支援(一部※)
・ステップアップを目指す非正規雇用労働者等に対する求職者支援制度による支援
・無期転換ルール等の円滑な運用に向けた周知
・働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」による相談支援の充実等
【参考】
(※)は5年間で1兆円に拡充し実施する「人への投資」パッケージの厚生労働省関連事業分。令和5年度当初予算案では1,510億円(令和4年度当初予算額は1,019億円)である。
ⅲ.安心できる暮らしと包摂社会の実現
地域共生社会の実現等
すべての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り高め合う地域共生社会の実現に向けて、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応するための包括的支援体制の整備のほか、生活困窮者への支援、障害者支援の推進、困難な問題を抱える女性などへの支援に取り組む。
○生活困窮者自立支援、ひきこもり支援、自殺総合対策等の推進:744億円(783億円)、R4補正164億円
・地方公共団体と連携したハローワークにおける生活困窮者等に対する就労支援の推進
被災地における福祉・介護サービス提供体制の確保等
○被災地における福祉・介護サービス提供体制の確保、被災者・被災施設の支援、雇用の確保、原子力災害からの復興への支援等:114億円(119億円)
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33059.html