【「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表】
厚生労働省は、このたび「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめましたので、公表します。
「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談※1」、都道府県労働局長による「助言・指導※2」、紛争調整委員会による「あっせん※3」の3つの方法があります。
今回の施行状況を受けて、厚生労働省は、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導およびあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとのことです。
【ポイント】
1:総合労働相談件数は高止まり。助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より減少。
・総合労働相談件数は124万8,368件で、15年連続で100万件を超え、高止まり
2:民事上の個別労働紛争※4における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」※5の件数が引き続き最多。
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、69,932件(前年度比18.7%増)で11年連続最多
・助言・指導の申出では、1,005件(同40.5%減)で10年連続最多
・あっせんの申請では、866件(同26.1%減)で9年連続最多
3:民事上の個別労働紛争における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請の全項目で、「解雇」の件数が前年度に引き続き減少。
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、31,872件で、前年度比4.0%減少
・助言・指導の申出では、656件で、同10.9%減少
・あっせんの申請では、713件で、同4.0%減少
※1「総合労働相談」
都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など379か所(令和5年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。
なお、平成28年度から、都道府県労働局の組織見直しにより「雇用環境・均等(部)室」が設置され、これまで「雇用均等室」で対応していた男女雇用機会均等法等に関しても一体的に労働相談として対応することになったため、それらの相談件数も計上されている。
※2「助言・指導」
民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことで、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭または文書で行うものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すもの。
※3「あっせん」
都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。
※4「民事上の個別労働紛争」
労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に関するものを除く)。
※5令和4年4月の改正労働施策総合推進法の一部施行に伴い、同法に規定する職場におけるパワーハラスメント注)に関する相談については同法に基づき対応されるため、「総合労働相談」のうち「法制度の問い合わせ」や「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」として計上され、「民事上の個別労働紛争(のいじめ・嫌がらせ)」の相談件数には計上されていない。同じく、同法に規定する紛争について、その解決の援助の申立や調停の申請があった場合には、同法に基づき対応している。
参考として、同法に関する相談件数等の施行状況については、厚生労働省ウェブサイトを参照。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000167772.html
注)職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる、以下1~3の要素を全て満たすものをいう。
1優越的な関係を背景とした言動であって、
2業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
3労働者の就業環境が害されるもの
[参考]令和4年度における同法に関する相談件数等
相談件数:50,840件
紛争解決の援助申立件数:1,409件
調停申請受理件数:368件
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00132.html