【長時間労働が疑われる事業場への監督指導(令和5年度の状況)】
厚生労働省は、令和5年度における長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を発表しました。この発表は、労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめたもので、長時間労働の是正に向けた取り組みの一環として行われました。
■監督指導の概要
令和5年度(令和5年4月~令和6年3月)において、全国の労働基準監督署は、長時間労働が疑われる26,117事業場に対して監督指導を実施しました。その結果、11,610事業場(44.5%)で違法な時間外労働が確認され、是正・改善に向けた指導が行われました。
■違法な時間外労働の実態
監督指導の結果、5,675事業場(違法な時間外労働があった事業場の48.9%)で、実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められました。また、3,417事業場(29.4%)では月100時間を超える時間外労働が確認され、さらに737事業場(6.3%)では月150時間を超える労働が行われていました。最も深刻なケースでは、35事業場(0.3%)で月200時間を超える時間外労働が確認されました。
■賃金不払残業と健康障害防止措置
賃金不払残業が確認された事業場は1,821事業場(7.0%)であり、過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場は5,848事業場(22.4%)に上りました。これらの事業場に対しても、適切な是正措置が求められました。
■業種別の違反状況
違法な時間外労働が確認された事業場の業種別内訳は以下の通りです。
・商業:6,053事業場(23.2%)
・製造業:4,763事業場(18.2%)
・保健衛生業:2,495事業場(9.6%)
・接客娯楽業:3,052事業場(11.7%)
・建設業:1,819事業場(7.0%)
・運輸交通業:2,236事業場(8.6%)
・その他の事業:2,928事業場(11.2%)
■健康障害防止に関する指導の状況
過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導した事業場は12,944事業場(49.6%)に上りました。また、労働時間の把握が不適正なため指導を受けた事業場は4,461事業場(17.1%)でした。
■事業場規模別の監督指導状況
監督指導が実施された事業場の規模別内訳は以下の通りです。
・1~9人:5,467事業場(20.9%)
・10~29人:9,760事業場(37.4%)
・30~49人:5,066事業場(19.4%)
・50~99人:2,831事業場(10.8%)
・100~299人:1,992事業場(7.6%)
・300人以上:1,001事業場(3.8%)
■企業規模別の監督指導状況
企業規模別の監督指導実施事業場数は以下の通りです。
・1~9人:2,515事業場(9.6%)
・10~29人:5,729事業場(21.9%)
・30~49人:4,109事業場(15.7%)
・50~99人:3,577事業場(13.7%)
・100~299人:3,857事業場(14.8%)
・300人以上:6,330事業場(24.2%)
■今後の取り組み
厚生労働省は、長時間労働の是正に向けた取り組みを今後も積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を実施する予定です。
この発表は、労働者の健康と安全を守るための重要なステップであり、企業に対しても適切な労働環境の整備を促すものです。長時間労働の是正に向けた取り組みが一層強化されることが期待されます。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
- 参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41656.html