【労務】労働保険の成立手続について
労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険を総称した言葉であり、保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の徴収については、両保険は「労働保険」として一体のものとして取り扱われています。事業主は、労働者を一人でも雇っていれば労働保険に加入し、労働保険料を納付する必要があります。
■労働保険の成立手続等の概要
労働保険の適用事業となったときは、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額となります。)を、概算保険料として申告・納付することとなります。
雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。
◎一元適用事業の場合
※一元適用事業とは、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を両保険一本として行う事業です。
| 届出書類 | 届け先等 |
(1) | 保険関係成立届 (保険関係が成立した日から10日以内) | 所轄の労働基準監督署 |
(2) | 概算保険料申告書 (保険関係が成立した日から50日以内) | 所轄の労働基準監督署 所轄の都道府県労働局 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
(3) | 雇用保険適用事業所設置届 (設置の日から10日以内) | 所轄の公共職業安定所 |
(4) | 雇用保険被保険者資格取得届 (資格取得の事実があった日の翌月10日まで) | 所轄の公共職業安定所 |
注1.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。
注2.(1)の手続を行った後に、(3)及び(4)の手続を行います。
◎二元適用事業の場合
二元適用事業とは、その事業の実態からして、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要があるため、保険料の申告・納付等をそれぞれ別個に二元的に行う事業です。
一般に、農林漁業・建設業等が二元適用事業で、それ以外の事業が一元適用事業となります。
- 労災保険に係る手続
| 届出書類 | 届け先等 |
(1) | 保険関係成立届 (保険関係が成立した日から10日以内) | 所轄の労働基準監督署 |
(2) | 概算保険料申告書 (保険関係が成立した日から50日以内) | 所轄の労働基準監督署 所轄の都道府県労働局 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。
- 雇用保険に係る手続
| 届出書類 | 届け先等 |
(1) | 保険関係成立届 (保険関係が成立した日から10日以内) | 所轄の公共職業安定所 |
(2) | 概算保険料申告書 (保険関係が成立した日から50日以内) | 所轄の都道府県労働局 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可) |
(3) | 雇用保険適用事業所設置届 (設置の日から10日以内) | 所轄の公共職業安定所 |
(4) | 雇用保険被保険者資格取得届 (資格取得の事実があった日の翌月10日まで) | 所轄の公共職業安定所 |
注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)~(4)の手続を行います。
◎成立手続を怠っていた場合には
成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定を行うこととなります。その際は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。
また、事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することになります。
◎労働保険の年度更新
労働保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、事業主は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付する必要があります。
これを「年度更新」といい、原則として例年6月1日から7月10日までの間に、労働基準監督署、都道府県労働局及び金融機関で手続を行うことになります。
参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/040330-2.html
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