【雇用】雇用保険法等の一部改正について
雇用保険法等の一部改正法案が第193回通常国会で成立しました。本改正で、急速な少子高齢化が進展する中、就業促進や雇用継続を通じた職業の安定を図り、安心して活躍できる環境の整備を進めるため、雇用保険失業等給付の拡充、職業紹介事業等の適正な事業運営確保のための措置の拡充、子育てと仕事が両立しやすい就業環境の整備等が行われます。
■雇用保険法等の一部改正の概要
1.失業等給付の拡充(雇用保険法)
(1)リーマンショック時創設の暫定措置終了の一方で、雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する措置を5年間実施。災害により離職した者の給付日数を、原則60日(最大120日)延長可能とする。
(2)雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施。
(3)倒産・解雇等により離職した30~45歳未満の者の所定給付日数の引き上げ。
30~35歳未満:90日⇒120日、35~45歳未満:90日⇒150日
(4)基本手当等の算定に用いる賃金日額について、直近の賃金分布等を基に、上・下限額等の引き上げ。
(5)専門実践教育訓練給付の給付率を、費用の最大70%に引き上げ。(最大60%⇒70%)
(6)移転費の支給対象に、職業紹介事業者(ハローワークとの連携に適さないものは除く)等の紹介により就職する者を追加。
※施行日:平成29年4月1日、(4)は平成29年8月1日施行、(5)及び(6)は平成30年1月1日施行
2.失業等給付に係る保険料率及び国庫負担率の時限的引き下げ(雇用保険法、徴収法)
保険料率及び国庫負担率について、3年間(平成29年~31年度)、時限的に引き下げ。
失業等給付の雇⽤保険料率の引下げ(0.8→0.6)
※施行日:平成29年4月1日
※枠内の下段は平成28年度の雇用保険料率
3.育児休業に係る制度の見直し(育児・介護休業法、雇用保険法)
(1)原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、更に6か月(2歳まで)の再延長を可能とする。
(2)上記に合わせ、育児休業給付の支給期間を延長する。
※施行日:平成29年10月1日
4.雇用保険二事業に係る生産性向上についての法制的対応(雇用保険法)
雇用保険二事業の理念として「労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする」旨を明記。
※施行日:公布日
5.職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化(職業安定法)
(1)ア)ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とする。イ)職業紹介事業者に紹介実績等の情報提供を義務付ける。ウ)ハローワークでも職業紹介事業者に関する情報を提供する。
(2)求人者について、虚偽の求人申込みを罰則の対象とする。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を整備。
(3)募集情報等提供事業(注)について、募集情報の適正化等のために講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、指導監督の規定を整備。
(注)求人情報サイト、求人情報誌等
(4)求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することを義務付ける。
※施行日:平成29年4月1日
(1)イ)、(2)~(4)は平成30年1月1日施行、(1)ア)は公布から3年以内施行
参照ホームページ[厚生労働省]http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/193.html