任意後見制度3.
「任意後見制度」についてよくあるご質問にお答えします。
- 任意後見制度はどのような人が利用するのですか?
- 具体的な事例は以下のとおりです。
1.配偶者も子供もいない独居高齢者(70代男性)
(1)ヘルパーの助けを得て、自宅にて健康的な生活を送っていたが、自宅で転倒骨折し入院。
(2)大手企業を退職、年金生活。ほとんどの退職金が残っている。
(3)将来的に他者の助けなく生活することに不安を感じ、第三者の支援を希望。
2.子供がいない初老の御夫婦(60代)
(1)戸建て(持ち家)居住、現金資産あり。
(2)賃貸家屋を所有、賃料収入あり。
(3)夫婦ともに健康だが、将来に不安。任意後見に関心がある。
3.知的障がいの子を持つ未亡人(50代女性)
(1)中学生の長男(障がいをもつ)と高校生の長女との3人で賃貸マンション暮らし。
(2)資産は、夫の死亡退職金と多額の死亡保険金あり。
(3)子らの将来に不安を感じ、第三者の支援を希望。
4.子供はいるが、配偶者がいない高齢者(70代男性)
(1)戸建て(持ち家)独居。海外勤務の一人息子がいる。
(2)年金収入があり、預貯金もある。現状生活に困っていない。将来も金銭的不自由はない。
(3)持病(糖尿病、心不全)があるため将来が不安で、認知症が心配。任意後見契約を希望。
5.婿養子として入った会社社長(事業承継をを考えている60代男性経営者)
(1)中小企業(製造業)のオーナー。息子に事業を継がせたいと考えている。
2年前に脳梗塞をおこし、救急車で運ばれた経緯あり。飲酒が多い。
(2)資産は、養親からの相続財産含め多額にあり、銀行からの借入金も相当額あり。
(3)妻(50代)が、将来に対しとても不安に思っている。妻の身体はいたって健康である。
将来のため任意後見を検討。 - 任意後見契約を結んでいます。後見監督人選任申立のタイミングの判断は?
- 精神上の障がいにより、本人の事理を弁識する能力が不十分な状況になった場合は、受任者は遅滞なく申し立てる必要があります。まずは、医師の診断書をもらいましょう。
申立てにあたっては、ケアマネージャー、ヘルパーなどの方々の意見を聞くとともに、本人とよく話し合い、本人の同意を必ず得て申し立てる必要があります。タイミングを見誤って、法定後見になってしまうことがないよう気を付ける必要があり、また、なおざりにして民法上の契約のまま仕事をしていると損害賠償の事態も考えられます。
判断能力が低下したときのために任意後見契約を結ぶとともに、通常の委任契約及び死後の事務委任契約を結ぶことができます。委任契約・死後事務委任契約の内容は、契約時に取り決めます。
※通常の委任契約とは、生活、療養看護及び財産を管理する事務の委任です。
例えば、金融機関、郵便局等の取引に関する事項(預貯金の管理・振込・払戻し・解約等)、病院との入院・医療契約、福祉サービス利用契約、施設入退所契約等、居住用不動産の購入、賃貸借契約等です。
※死後事務委任契約とは、死亡届、葬儀、埋葬等に関する事務、医療費、施設利用費の精算、その他身辺の整理、年金関係等の各種届出に関する事務です。