「成年後見制度」についてよくあるご質問にお答えします。

成年後見制度はどんなときに使える制度でしょうか?
未成年者に親の保護が必要なように、成年者でも、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が十分でない方々は、不動産や預貯金などの財産管理、介護サービスや施設入所に関する契約締結を自ら行うのは難しいでしょうし、悪質商法の被害に遭うおそれもあります。これら判断能力が十分でない方々を保護・支援するのが成年後見制度です。 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。法定後見制度は、対象となる方々の判断能力の程度によってさらに後見・保佐・補助の3つに分けられます。家庭裁判所によって選任された成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自ら法律行為をするときに同意を与えたり、本人が成年後見人等の同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援する制度です。 一方、任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で締結しておくものです。 なお、成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などはコンピュータ・システムによって登記され、登記事項証明書の発行によって登記情報は開示されます。
成年後見制度の利用実態について教えてください。
最高裁判所の統計によれば、平成25年12月末日時点における、成年後見の利用者数は143,661人(対前年比約5.3%の増)、保佐の利用者数は22,891人(対前年比約12.1%の増)、補助の利用者数は8,013人(対前年比約6.7%の増)、任意後見の利用者数は1,999人(対前年比約7.0%の増)となっています。いずれも、対前年比で利用者数は増加していますが、認知症高齢者が数百万人も存在するという統計からすれば、まだまだ利用者は多くなく、制度が十分に認知され、活用されているとは言えません。特に任意後見の利用者数が少ないのは目立ちます。
成年後見制度に行政書士はどのように取り組んでいるのですか?
行政書士は、権利義務・事実証明に関する書類作成業務を通して培った識見を活かし、家庭裁判所から成年後見人等に選任されることがあります。任意後見契約を締結している者(任意後見受任者)もいます。しかし、行政書士業務と言えるのは任意後見契約書の起案くらいで、後見事務のほとんどは行政書士業務そのものではありません。行政書士は成年後見人等に求められる財産管理や各種契約・手続などに関する事務について十分に研鑽を積んだ上で、社会貢献活動として成年後見制度に取り組んでいます。日本行政書士会連合会では、一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターを設立し、その取り組みを推進しています。
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